MeSSH(NPO法人 スポーツ・健康・医科学アカデミー)

MeSSH(NPO法人 スポーツ・健康・医科学アカデミー)

 

 

MeSSH(NPO法人 スポーツ・健康・医科学アカデミー)の概要

NPO法人「スポーツ・健康・医科学アカデミー(MeSSH)」は、スポーツ、健康、医学の分野において、知識の共有や研究の推進を通じて、人々の健康とウェルビーイングを向上させることを目的とした非営利組織(NPO法人)です。

 

MeSSHは、専門家、研究者、医療関係者、スポーツ関係者、一般の人々など、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーから構成されています。

 

MeSSHの主な活動や目標には以下のようなものがあります。

 

情報共有と研究の促進

MeSSHは、スポーツ医学、健康科学、医学の分野で最新の知識や研究成果を共有し、専門家同士が連携し、より効果的な健康管理や治療法の開発に貢献します。

 

教育と啓発

スポーツや健康に関する正しい情報を広め、一般の人々やプロフェッショナルに対して教育と啓発活動を行います。これにより、健康なライフスタイルの促進や怪我の予防に寄与します。

 

ネットワーキングとコラボレーション

異なる分野やバックグラウンドを持つ専門家とのネットワーキングを推進し、異なる視点からのアプローチを結集して問題を解決します。また、他の組織や団体との協力プロジェクトも行います。

 

研究助成

一部のNPO法人は、医学やスポーツに関する研究を助成することがあります。MeSSHも研究者に対して助成金を提供し、新たな発見や知見の獲得をサポートします。

 

フォーラムとイベント

MeSSHは、スポーツ医学や健康に関連するフォーラムやイベントを開催し、専門家同士の交流や知識共有の場を提供します。

 

MeSSHの活動は、スポーツ医学、健康科学、医学の分野における進歩と、人々の健康とウェルビーイングの向上に貢献しています。

 

 

 

MeSSHの原点

1980年代後半、日本がバブル景気で湧いていた時期に、理事長の筒井廣明氏は昭和大学藤が丘病院で肩関節に魅了され、その診察、治療、研究に没頭していました。

 

当時、肩の治療が難しいと言われていたことや、手術結果が一貫して良好でないことに疑問を感じていました。その疑問に共感してくれたのが、同病院の理学療法士であった山口光國氏(現在のMeSSH理事)でした。

 

筒井氏と山口氏は2人で肩関節の運動に関する研究を始め、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、機能的な診断と運動療法の結果の違いについて調査しました。

 

長い時間をかけて客観的なデータと一致する結論にたどり着き、1990年に第17回肩関節研究会(現在の日本肩関節学会)で「肩関節の安定化機構」と題した論文を発表しました。

 

翌1991年には、今では一般的になった「インナーマッスル」や「アウターマッスル」といった用語とともに、第18回肩関節研究会(現在の日本肩関節学会)で「肩関節不安定症に対する腱板機能訓練」というテーマで、「Cuff-Y exercise」という運動療法の概念を発表しました。

 

 

 

牛島和彦選手との出会い

この時、筒井氏の診察を受けたのが元千葉ロッテマリーンズの投手、牛島和彦選手でした。

 

最初に会ったとき、牛島選手は肩を上げることができず、痛みで歯も磨けないほどの状態でした。

 

筒井氏は彼に対して、輪ゴムでテーブルを拭く運動を行うようにアドバイスしました。輪ゴムを親指にかけ、テーブルを拭く運動をすることで、2週間後には歯を磨けるようになるだろうと伝えました。再び牛島選手が診察に訪れたとき、彼は大喜びで「10日で痛みがなくなり、歯を磨けるようになりました!」と報告しました。

 

その後、運動療法を中心とした治療を受け、彼の運動機能は向上し、再びプロ野球のマウンドに立つことができました。この結果、牛島選手の復帰はマスコミでも大々的に報じられました。

 

後で牛島選手にその当時の心境を尋ねたところ、「気が狂いそうだった。プロ野球選手が、自宅で、しかも食卓の上で、ただ輪ゴムを動かしているだけなんて。本当にこんなので治るのかと思っていた。」と率直に答えました。

 

その後、10年以上にわたる研究活動で、多くの選手や医師、トレーナー、理学療法士が当院を訪れ、知識や技術を共有し、基礎実験を行い、臨床に応用しました。これを通じて、筒井氏たちは医療サイドとして、基礎研究に裏打ちされた運動療法や手術療法のレベルを向上させ、現場の要望に応える準備が整いました。

 

そして、選手の治療やコンディショニングを通じて、多くの選手、監督、コーチ、トレーナー、理学療法士、整形外科医との素晴らしい人間関係を築くことができました。

 

それぞれの専門分野からの貴重な意見を聞く機会にも恵まれ、協力と共同作業を通じて、スポーツ医学の分野で大きな進歩を遂げました。

 

 

 

スポーツフォーラム21とMeSSHの展望

最近、「スポーツ医学」という言葉がよく聞かれますが、医療サイドと現場サイドとの間にはまだギャップがあります。特に、「復帰」という言葉の定義に違いがあり、選手と医療サイドでは異なる意味を持っています。

 

選手にとっては、復帰とは競技を調子良く続けることを指し、医療サイドでは競技場に復帰することを意味することが多いです。この違いが誤解や不信感を生み出す原因となっています。

 

選手や患者が、望む治療を自分の活動の場所や地域で受けられないことは不運です。その様な不幸な現状を打破し、いつでもどこでも、選手をはじめとする現場サイドと、医療サイドが望ましいと思える治療形態を実現するためには、選手の活動の場、あるいはその地域で、選手が満足のいく治療が受けられることが大切だと考えています。

 

その第1歩は、医療サイド・現場サイドがお互いの立場を理解し合い、それぞれの得意な面を活用し、整形外科医・理学療法士・アスレティックトレーナー・指導者、そして選手自身が、職種を超え同じ土俵で討論し、知識や技術あるいは考え方のレベルアップとすりあわせを行うべきと筒井氏は考えました。

 

筒井氏たちはこのような考えに基づいて、そして21世紀に向けた期待を胸に、2001年に​1​という活動を始めました。

 

スポーツフォーラム21は、講演のような一方通行の場ではなく、スピーカーと参加者が情報やアイデアを共有し、互いに学び合う双方向の場です。良い技術や考え方が広がり、さらに発展する場として、年に1回開催されています。

 

そして、2016年に私が昭和大学を定年退職した際、​スポーツフォーラム21をより良くするために​3​を設立しました。この活動を通じて、多くの素晴らしい人々とのコミュニケーションが広がり、人々が協力し合うネットワークが機能し、選手や患者さんが日本全国で納得のいく治療を受けられる環境が整うことを願っています。